JOURNAL

2024/06/02 14:06

ウメトサクラト代表の長橋です。

ウメトサクラトのドッグフードは、年老いた愛犬「コウメ」にごはんを手作りしていた経験から生まれました。こちらのコラムでは、コウメとの出会いから、ブランドを立ち上げるまでのお話をお伝えしたいと思います。


愛犬コウメとの出会いと、名前の由来。

コウメとは2007年7月にペットショップで出会いました。


妻の実家で長年大切に育てられていた「さくら」という名前のワンちゃんが天寿を全うし、義理の母はとても気落ちしていました。そんな母を元気づけようと、妻と義理の妹が、さくらに似た足の短い犬種のワンちゃんを探していました。


とあるペットショップに、ちょうど探している犬種のかわいい子がいるというネット情報を得て、ぼくと妻と義理の妹と3人で伺ってみました。するとそこには、とても小さくて、白いふわふわとした毛並みの生後2ヶ月程のワンちゃんがいました。目が合うと、その子は尻尾を振りながらぼくら3人に近づいてきて、一緒に遊びたそうにケースのガラス面を前脚でコツコツと押していました。その愛らしい様子に、全員が一瞬で心を奪われてしまったのです。冷静になろうと一旦その場を離れましたが、やはりどうしても連れて帰りたいという気持ちが強くなり、再びペットショップに戻って、ぼくら夫婦の家族として迎え入れることを決めたのでした。


名前は先代犬のさくらと同じ、日本の花である「ウメ」という名前が候補に上がり、身体が小さかったのでそこに「コ」をつけて、この子は「コウメ」になりました。


ちなみにその後、妻の実家では、飼い主の方が高齢のため飼い続けることができなくなったワンちゃんを貰い受けることになり、同じく日本の花である「モモ」と名付けられ、さくらから続く日本の花の名前を踏襲することになりました。



:ペットショップで出会った生後35日のコウメ

こうして我が家の一員となったコウメ。当時はぼくも妻も仕事が忙しく、コウメはひとりで留守番をすることも多かったのですが、毎晩帰宅する度に、びっくりするほど喜んでぼくたちを迎えてくれました。自然と夫婦の会話もコウメが話題の中心になり、妻との喧嘩の際も仲直りのきっかけを与えてくれるのはいつもコウメでした。コウメはぼくたち夫婦に、和やかな家族の時間を与えてくれる存在でした。



:家で遊ぶ小さい時のコウメ

愛犬の老いと向き合う。ドッグフードを手作りし始めたきっかけ。

コウメにドッグフードを手作りしはじめたのは11歳の時です。

コウメは全般的におとなしく素直な子でしたが、歯のケアだけは執拗に嫌がりました。その結果、歯のケアがおざなりになってしまい歯周病が進行し、抜歯をすることになったのです。抜歯をしたことで、それまで食べていたカリカリのドライフードを食べ続けるのは難しいかもしれないと感じました。


その後も歳を重ねるとともにコウメは白内障、心臓の病気である僧帽弁閉鎖不全症を発症するなど、徐々に体にも支障が現れはじめました。ぼくたち夫婦は食べることや食事を作ることが大好きで、健康にも気を使い、普段から旬の食材を取り入れた野菜多めの食事を心がけていたのですが、家族であるコウメにも、同じように食事を楽しみながら、年老いても健康でいて欲しいという思いが募っていきました。


以前、知り合いがワンちゃんのごはんを手作りしていると話していたことを思い出し、まずは図書館であらゆるドッグフードのレシピ本を借りてくるところから、コウメ用のドッグフード作りがスタートしました。何冊かのレシピ本を参考にしながら、人と同様に、目に良いとされるブルーベリーを与えたり、薬膳の「同物同治」という考え方を取り入れて、鶏のハツ(心臓)を加えてみるなど、コウメの体調と健康を考えて工夫しました。


また、ほぼ毎食に鶏のササミか胸肉を細かく割いて入れていたのですが、お肉の茹で汁も一緒に加えて汁だくのごはんにすることは、食材が柔らかくなり風味が増すだけでなく、積極的に水分を摂らなくなってきた老犬に食事で水分を摂らせる手段として、とても優れていると思いました。これはレシピ本から学んだことです。



こういった手作りごはんでコウメが満足していたのかは、コウメに聞いてみないと分からないことですが、14歳の亡くなる直前、後ろ足が立たなくなり体勢を維持することが難しくなった際にも、お皿の底が見えるまで綺麗にごはんを食べてくれていたのは、試行錯誤を重ねたごはんが食べやすかったからではないかなと、思っています。



:成犬になったコウメ

:年老いても手作りごはんを綺麗に食べてくれたコウメ

総合栄養食のドッグフードブランドを立ち上げるまで。

手作りのドッグフードを作ることは、コウメの老いがきっかけとなりはじめたことですが、それがいつの間にか自分自身の生活の楽しみのひとつにもなっていました。コウメが亡くなってからしばらく経ち、同じように高齢になったワンちゃんの健康維持の選択肢のひとつとして、手作りのごはんを提供する事業ができないかと考えるようになりました。


時を同じくして、所属している会社の同僚が長野県菅平高原(スポーツ合宿の聖地)で、アスリートに鹿肉を提供するためにジビエ処理場を運営しはじめました。鹿肉の栄養特性がドッグフードとしても優れていることから、ぼくが考えていた事業とのシナジーが強く見込めました。そうしたいろいろなピースが揃い、妻や、ワンちゃんを飼っている友人達からも背中を押されて、手作りごはんのドッグフードブランドを立ち上げることを決めました。


ウメトサクラトでは、総合栄養食の基準に沿ってレシピ開発を行っています。総合栄養食とした理由は、あらためて事業としてドッグフードを作るにあたり、ワンちゃんとの毎日の暮らしの中で、飼い主さんがより安心と感じ、取り扱いが楽であることが大切だと考えたからです。ぼくの頭の中の対象は、どうしてもコウメになってしまうのですが、コウメに食べさせたいか、食べさせても問題ないか、ということは常に意識して商品開発を行っています。





:ウメトサクラトの総合栄養食ドッグフード「イモとシカ」


ウメトサクラトのブランド名に込めた思い。

ここまで読んでいただき、もうお気づきかと思いますがウメトサクラトのブランド名には、愛犬の「コウメ」と、コウメが家族になるきっかけを与えてくれた「さくら」の名前が入っています。他にもいくつか候補がありましたが、誰もが想起しやすい日本の花の名前であることが、個人的な感情に寄りすぎない、という点で決め手のひとつになりました。そこには、ワンちゃんによってそれぞれに違う個性を大切にしながら、一匹一匹の犬生に寄り添えるブランドを目指したいという気持ちを込めています。


ウメトサクラトの総合栄養食は、ドッグフードと併用したり、たまにあげる特別なごはんとして使ったり、スープを足して汁だくのごはんにしたり、旬の食材をトッピングしたりするなど、ワンちゃんの状態や好き嫌いに合わせて、ご自由にお使い頂きたいと思っています。ワンちゃんの健康を思いながらも、なかなか手が回らないという飼い主さんの一助となれば幸いです。


ウメトサクラトは、今後も成犬から年老いたときまで、ワンちゃんに安心安全でおいしく食べられるごはんを提供していきます。