JOURNAL

2024/07/02 13:03

せっかく駆除するなら美味しくいただく。
捕獲から精肉まで、ワンストップで行う自社ジビエ処理場

長野県の北部、根子岳・四阿山の麓に広がる標高1,300メートルの菅平高原。冬はスキーリゾートを楽しむ観光客が訪れ、夏も冷涼な気候なことからラグビーやサッカーなどのスポーツ合宿の聖地として知られています。2022年、ウメトサクラトを運営する株式会社そろそろは、この菅平高原に害獣として駆除された鹿を精肉するための、自社ジビエ処理場を設立しました。
全国各地で発生している増えすぎた鹿による被害は、この菅平高原でも深刻な問題となっており、森林や農作物を荒らし、生態系全体に大きく影響を与える存在として、個体数調整のための駆除が行われています。


:菅平高原に生息するニホンジカ

そろそろ代表 石畠は、菅平高原のある長野県上田市に2016年に移住。自身も学生時代にラグビー合宿で訪れていたという縁もあり、地域の方達と協力し、コロナウイルスの影響でスポーツ合宿が一時激減してしまった菅平を支援する活動を行っていました。その活動のひとつとしてはじめたのが、菅平高原で捕獲された鹿肉をスポーツ合宿に訪れたアスリートに振る舞うための、自社ジビエ処理場の運営です。



:クラウドファンディングで支援を募り設立したジビエ処理場
※食品衛生法により、食肉処理業の免許を持った施設(ジビエ処理場)を通さない鹿・猪肉は、宿泊施設で振る舞うことができません。

鹿肉はタンパク質や鉄分などの栄養価が高く低カロリーなためアスリートに最適です。以前石畠が、和牛と鹿肉をアスリート合宿のBBQに持参したところ「牛肉よりも次の日に疲れが残らない」とアスリート達からも評判の声が上がりました。石畠は、美味しい鹿肉が菅平高原に合宿で訪れるアスリートの楽しみになることを目標に掲げ、クラウドファンディングで130万円の支援金を集めてジビエ処理場を設立しました。

石畠は自身で罠猟の資格も取得。捕獲から解体、精肉加工までをワンストップで手掛けています。せっかく駆除するのであればその生命を最大限美味しくいただくことを第一に考えて、鮮度を落とさず処理を行うために、捕獲後は山で殺さずに処理場まで生きたまま搬送(生体搬送)し、迅速に処理することをルールとして定めました。菅平高原の名物として、今後も鹿肉が「鹿しゃぶ」や「鹿タコス」などのさまざまな料理に活用されることを目指しています。

ウメトサクラトでは、この人間が食べるものと同じ、自社ジビエ処理場から直送される新鮮な鹿肉をドッグフードとして採用しています。


:自社ジビエ処理場で精肉した鹿肉のロースト。
 牛肉などよりも脂身が少なく、さっぱりとした旨味があり美味しい。



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