JOURNAL

2024/06/03 09:00

栄養バランスと食べやすさを考えた、総合栄養食ができるまで。

前回のコラムにて総合栄養食とした理由をお伝えしましたが、総合栄養食のドッグフードを作るにあたり、まず参考にしたのがペット栄養学会誌に掲載された「イヌの維持期のAAFCO養分基準(2016)を満たす手作りの食レシピの設計法という京都大学の論文です。


この論文では一般的な食材では基準を満たすことが難しいビタミンやミネラルを、入手しやすい食材だけで賄うことを実現しており、なるべく添加物不使用にこだわりたかった商品開発において最適に思えました。紹介されていたレシピを参考にしながら、歳を重ねたワンちゃんの健康維持につながる栄養バランスと、最後まで美味しく食べられる食べやすさを考えて、食材と調理方法をひとつひとつ見直し、改良を加えていきました。



特に老犬はタンパク質の過剰摂取で腎臓病のリスクが高まったり、肥満予防のための脂質管理が重要であったりとレシピ開発の上での検討事項が多くあります。同時進行でペット栄養管理士の資格(2023年9月取得)の勉強もはじめ、そういったエネルギー三大栄養素(脂質・タンパク質・炭水化物)の栄養バランスを考慮しレシピを調整しました。



こうした試行錯誤を経て、完成したレシピを最終的にペットフード公正取引協議会の定める分析試験にかけて、総合栄養食の基準を満たしたウメトサクラトのドッグフードが完成しました。



:総合栄養食のレシピ開発途中の写真

国産品、添加物不使用。安心安全な食材へのこだわり。

ウメトサクラトが食材を選ぶ基準のひとつとして大切にしているのは、自分達が普段食べている食材と遜色ないということです。安心安全な食材を同じ家族であるワンちゃんにも与えたいという思いから、可能なかぎり顔の見える国内の生産者さんの食材を厳選して使用するようにしています。今後はこだわって作っているけれども、不揃いで流通にのらないような食材に出会えれば、積極的に使っていきたいとも考えています。また、添加物については、なるべく添加物不使用にこだわりたいのですが、どうしても補いきれない一部のミネラル(銅と亜鉛)のみは人間用のサプリを用いることを選択しました。



ウメトサクラトが鹿肉を採用している理由。

ウメトサクラトを運営する株式会社そろそろは、長野県菅平高原(スポーツ合宿の聖地)で、アスリートに鹿肉を提供するためにジビエ処理場も運営しています。菅平のジビエ処理場では、鹿の捕獲から解体、精肉までワンストップで行っています。鹿は農家に被害をもたらす為「害獣」と呼ばれていますが、せっかく駆除するならその生命を美味しく頂くことを第一に、山で殺さずに処理場まで生きたまま搬送(生体搬送)し、処理場で迅速にお肉にすることをルールとしています。

ウメトサクラトでは、そのように処理された鹿肉のみを使用しています。



レシピ開発の試作を繰り返す中で分ったこととして、ワンちゃんそれぞれに好みの違いはありますが、人間にとっては多少匂いの強いレバーや鹿肉が食欲をそそるように感じました。また鹿肉は低脂質で高タンパク高鉄分という特徴を持つアスリートに最適な食材であり、同じくワンちゃんにもメリットの多い食材です。鹿肉に含まれるタンパク質は新奇タンパク質とも呼ばれ、牛肉や鶏肉にアレルギーのあるワンちゃんも、食べる機会の少ない鹿肉にはアレルギー反応を示さないことも多く、アレルギー対策にも有効です。



こうした鹿肉によるさまざまな利点を考慮し、社内の協力も得ながら、ウメトサクラトのドッグフードを象徴する食材として、鹿肉を採用することを決めました。



:菅平高原に生息する新鮮な鹿肉を使用

手軽に使える手作りごはんを、フレッシュな状態でお届け。

ウメトサクラトの総合栄養食は、注文があった分だけごはんを手作りし、使いやすくカロリー計算がしやすいキューブ型の形状に冷凍して、フレッシュな状態でお届けしています。日々の利用を想定して、ゴミがあまり出ないように、パッケージは極力シンプルを心がけました。



総合栄養食はひとつの基準ではありますが、もちろん絶対的なものではありません。飼い主さんが日頃からワンちゃんの様子、特に食欲や動き、うんちの状態、毛艶、口臭などの匂い、などをよく観察し、変化に気づくことが大切だと思っています。飼っているワンちゃんに適した食事を、試行錯誤しながら与えていくことが、人と犬とが長く健康で幸せに暮らせるコツではないでしょうか。


ウメトサクラトのドッグフードは、そうした試行錯誤の日々の中で、自炊が難しい日のために、ごはんをまとめて炊いて冷凍しておくような感覚で、それぞれのワンちゃんに合わせて自由にカスタマイズしながら、手軽に利用していただきたいと思っています。